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原題：Suspiria
監督：ルカ・グァダニーノ
脚本：デヴィッド・カイガニック
製作：ルカ・グァダニーノ、マルコ・モラビート、他
音楽：トム・ヨーク
出演者
スージー：ダコタ・ジョンソン
サラ：ミア・ゴス
パトリシア：クロエ・グレース
オルガ：エレナ・フォキナ
ジョセフ：ルッツ・エバースドルフ
アンケ：ジェシカ・ハーパー
マダム・ブラン：ティルダ・スウィントン
ミス・タナー：アンゲラ・ヴィンクラー
製作国：アメリカ、イタリア
公開：2018年（日本2019年）
上映時間：152分
あらすじ
ボストンからベルリンの世界的に有名なマルコス舞踏団に入団する為やってきたスージー。オーディションでカリスマ的振付師マダム・ブランの目に留まり、入団を許可されたスージーは、主要ダンサーの失踪や退団といった事もあり、早々に主役の座を手に入れるが、それと同時に彼女の周囲では不可解な出来事が起こり始める。
一方、失踪したダンサー、パトリシアの主治医であった心理療法士クレンペラー博士はその行方を追い独自に調査を始めるが…
解説
ホラー映画史上名を刻むダリオ・アルジェントの名作「サスペリア」を「君の名前で僕を呼んで」で名を馳せたルカ・グァダニーノ監督がリメイク！ダコタ・ジョンソン、クロエ・グレース、ティルダ・スウィントン等の豪華なキャストに加え、オリジナル版のヒロインであったジェシカ・ハーパーも花を添えています。レディオヘッドのトム・ヨークが音楽を担当した事も話題になりました。
リメイクならぬリブート作品
今作は「サスペリア」のリメイク作品として発表されましたが、実際に観てみるとオリジナルとは全くの別物でリブート的な作品となっていました。舞台設定や登場人物こそ被るところがありますが、根本的にテーマが異なっているので、それを念頭に置いて鑑賞するのとしないのでは印象が全く変わってくる恐れがあるので注意が必要かもしれません。
一人三役
今作で重要な役どころであるマダム・ブランを演じたティルダ・スウィントンですが、実は他にジョセフ・クレンペラー博士と魔女マルコスの一人三役をこなしています。マルコスこそ醜い姿にサングラスといった風貌な上にラスト近くまで姿を現さないので、まず気付く事は難しいと思いますが、自分は終始出ずっぱりのクレンペラー博士にも全く気付く事が出来ませんでした。もっとも、クレンペラー博士については製作側も手が込んでおり、公式サイトやパンフレットでも、ルッツ・エバースドルフという架空の役者を仕立て上げ、経歴についても事細かに設定し、撮影前のオフショット写真まで制作されているという徹底ぶりだったようなので、気づかないのも無理がないかもしれません。でも、中にはちょっとした女性っぽいしぐさから、ティルダ・スウィントンと見破った人達もいるようなので観察力に恐れ入ります
※ここからネタバレあり（ネタバレが嫌な方はここから下は見ないでください）
感想
初見での感想は「コレジャナイ」でした。解説の方でも触れていますが、「サスペリア」のリメイクだと思って観たので、あまりの違いに頭がついていかなかったんですよね～。アルジェントが「作品の意図を理解していない」と酷評したそうですが、それも無理はないと思います。オリジナル版の特徴である幻想的で芸術的なものを想像して観ると、肩透かしを食らってしまうので本当に注意が必要です。
ただ、観終わってしばらくすると、もしかしたら凄い物を観たんじゃないかという気持ちがジワジワと込み上げてきたので再見してみましたが、別物として観ると、とても良くできた作品でした。これは絶対リメイクではなく、再構築とか新解釈、リブート作品という事を強調して売り出すべきだったと思います。
完全に面白さのベクトルが違うんですよね～。「スターウォーズ」だと思って観にいったら「ブレードランナー」だった。「こってり系のパンチの効いたラーメン」だと思って食べたら「アッサリ系の味わい深いラーメン」だったみたいな感じですｗ
今作はオリジナル版と違って、視覚的な美や恐怖ではなく、時代背景や政治事情を盛り込んだりと、哲学的な視点から恐怖を描いているので、オリジナル版の面白さを期待して観ると退屈にすら感じてしまうかもしれません。（とはいえ、全編通して映像は凄く綺麗ですし、オルガの残酷描写や舞踏シーンなどは圧巻です。）
ラストでスージーこそが溜息の母であったことが明らかにされますが（マルコスは自称溜息の母で、スージーに「それは私」と言われたシーンは思わずにやけてしまいましたｗ）、オリジナルでは、ただの悪として扱われていた溜息の母が今作では慈悲深くすらある、神に近い存在として描かれているのには感慨深いものがありました。
最後に一言。「決してオリジナル版と比較して見ないでくださいｗ」
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